酒米の違いを愉しむ。酒米を巡る素敵な旅へのご招待

まんさくの花「巡米吟醸」は、「日本酒造りの要諦は、米に由来する香味を大切にし、たとえ雑味があってもそれを活かしてまとめ上げ、全体の調和を図るべし」との考えに基づき、極力米を磨いて雑味を排除する従来の吟醸酒造りから脱却、精米歩合を55%に設定し、使用する酒米以外全て同一条件(精米歩合・酵母・仕込規模・原酒・一度火入・低温瓶貯蔵)で醸造し、お米の違いを飲み比べて頂こうとチャレンジしているお酒です。

「巡米吟醸」は発売月ごとに出荷する酒米が変更になります(現在は2か月に1度変更)。純粋な飲み比べのためには一年お待ちいただく必要がありますが、開栓の時を待つのもお酒の愉しみの一つではないでしょうか。

巡米吟醸の発売予定(平成27酒造年度製造分)

※お酒の熟成度合によっては発売を前後する可能性があります。

27BYは、「雄町」「秋田酒こまち」「美郷錦」「亀の尾」「山田錦」「愛山」を巡る旅にご招待いたします。どれも甲乙つけがたい、素晴らしい酒米を揃えることができました。

魅惑の酒米ワールドにようこそ

酒米の誕生年

※当社が使用している酒米を抜粋

酒米を語る上で外せないのが、始祖的存在である「雄町」と「亀の尾」です。後ほどご紹介しますが、現存する酒米や食米のほとんどがこの2つの米の血を引く、いわば子孫にあたります。

雄町は酒米の王様として、亀の尾は酒米としても使われていましたが、どちらかというと食米の王様として君臨していました。ただ、どちらも背が非常に高く、育てにくいという欠点がありました(まあ当時の米は皆一様に穂長が高くて育てにくく、長い歴史を経て品種改良を重ねてきた現代だからこそ「亀の尾は背が高くて育てにくい」という表現になるわけですが)。

多くの研究者がこの米を交配し、様々な品種改良を積み重ね、様々な有名酒米が誕生することになります。1936年には現在もなお「酒米の王様」として名高い「山田錦」が誕生。非常に酒造適性が高く、とにかくお酒が造りやすい。雄町などと比べるとはるかに育成がしやすいため、雄町に代わって一躍スター米へとのし上がりました。

さて、時は現代。山田錦が天下統一をするかと思いきや、百花繚乱の「酒米」戦国時代を迎えています。酒造技術も農作技術も向上し、やる気さえあれば様々なお米(酒米とは限らない)を使ったお酒造りに挑戦できる環境になったからです。

酒米の系譜図

先ほど述べたように、現存する酒米の多くが「雄町」と「亀の尾」の子孫にあたります。この図は3代前までを抜粋していますが、5代6代と系譜図を辿っていくと、どちらかに行き着くものが殆どです。

特にこの図の中で面白いのが「愛山」です。母系、父系ともに2代前に「雄町」の名が見て取れます。また、山田錦は雄町の孫にあたりますので、愛山は雄町の遺伝子を実に50%以上受け継いでいます。
愛山が誕生したのは1941年。その時代に酒米の王様として君臨していた偉大なる雄町を超える酒米を生産したい。という研究者の意図が見えてくるかのようです。また、そのわずか5年前の1936年に誕生したばかりの山田錦の能力にも注目し、その遺伝子もしっかり取り入れています。面白いですね。

こういった近親交配は家畜、ペット、植物様々な世界で行われます。例えば競馬であれば18.75%のインブリードは奇跡の血量と呼ばれ、その血が持つ特徴が存分に発揮されるといわれています。(愛山の場合は『極端な近親交配だから危険じゃないの?』と思った方もいると思いますが、植物においてはそうではない場合がほとんどです。気になる方はネットで調べてみてください。)

さて、ごく最近誕生した酒米では、秋田県がオリジナル酒米として開発した、「美郷錦」が目を引きます。全国NO.1の収穫量を誇る「山田錦」とNO.3の「美山錦」を交配させた、現存する酒米の中で最も良血といえる存在です。
高い潜在能力を持つことは間違いなく、親の山田錦よりもさらに切れの良い、素晴らしいお酒を造ることができるお米です。ですが、なにぶんお坊ちゃまゆえに打たれ弱かったか、育成が難しく、収穫量もあまり多くないのが難点です。
さらに美郷錦にとっては運の悪いことに、わずか3年後に「秋田酒こまち」という秋田県産酒米のスーパーエースが誕生してしまいました。これにより美郷錦は、秋田の希少米という立場になってしまいました。ですが、当社では美郷錦のポテンシャルに期待し、これからも美郷錦のお酒造りに挑戦し続けるつもりです。

続きは以下、各酒米別の商品ページをご覧ください。