基本的に、お酒が搾られてから可能な限り早く火入れを行います。
(写真)弊社火入れ設備パストライザー

日本酒はアルコール分を含むので、多くの菌はそもそも生育できませんが、
その中で生育可能な「酵母菌」と「火落ち菌」の2つを殺菌します。
これまで頑張ってお酒を醸してくれた酵母菌ですが、
ここから先は劣化の原因になるので殺菌します。
また、火落ち菌は必ず存在するわけではありませんが、
もし存在してしまうとお酒を一気にダメにする恐ろしい菌です。
火落ち菌が失活する60度以上できっちり殺菌することが重要です。
火入れ温度を65度まで上げれば確実に火落ち菌は死滅しますが、
弊社では火入れの温度は少しでも低いほうが良いのではないかと考え、
温度ロガーで計測して目標を62度前後としています。
火入れの方法は大きく分けて「管(パイプ)で火入れ」「瓶で火入れ」の2つがあります。
<蛇管火入れ/プレートヒーター火入れ>
蛇管とは、スプリングのような管のことです。弊社でも緊急時用に所持しています。
この管をお湯の釜に入れて、この中にお酒を通して火入れをします。

機械なので、正確な温度管理が可能です。
さらに最新式のプレートヒーターは温められたお酒が
帰り道で火入れ前のお酒を温め、その結果自らは冷えて出ていくという、
効率的な熱交換の仕組みを持ちます。
いまいち想像できなかった方は以下にイメージ図を作りましたのでご覧ください。

<瓶燗火入れ/パストライザー火入れ>
瓶燗火入れは、お酒を瓶詰めしてからお湯に漬けて火入れする方法です。
写真は、10年前くらいに撮影した瓶燗火入れの様子です。

最大のメリットは、生酒の状態で瓶詰めを行うので、
火入れを最小回数の1回に抑えられることです。
いわゆる生詰や生貯蔵というお酒ですね。
なお、蛇管などを使ってタンク貯蔵する場合は、
瓶詰めの際にもう一度火入れをしないと火落ち菌が
繁殖する恐れがあるので、最低でも2回火入れを行うことになります。
旧来は写真のように人力作業だったため、
温度管理が難しい他、量をこなすことが難しかったのですが、
パストライザーという設備の登場により、大量の瓶燗火入れが可能になりました。
パストライザー火入れ(弊社の採用している方式です)
冒頭の写真の通り、打栓をした状態でシャワーを当てて火入れを行う大型の機械を使います。
ラインが進むごとにシャワーの温度を変えることで、細かな火入れ調整が可能な他、
この機械を2台並べることで、瓶が割れないように調整しながら火入れと急冷が可能です。
弊社の火入れもこのパストライザー2台体制で行っています。
前述の通り火入れを1回で完結できるほか、
打栓をした状態で火入れを行うため、
最も香りを損ねない方法だと考えて導入しております。
瓶詰ラインに直結させることで、正確にかつ大量に瓶燗火入れが可能です。
弊社は生酒を除くほぼ全量のお酒を1度火入れ(生詰)として
発売することが可能になりました。